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リベット ~ 木原音瀬

2006.09.28 *Thu
巷で噂の木原さんの新刊です。
病気ネタや記憶喪失ネタは、ある意味ちょっとずるいと言うか、禁じ手な感じもしなくもありませんが、それをあえて真っ向から扱うのは、作家にそれを描ききる実力と自信があるからだと思ってます。

高校教師の初芝公平は、大学四回の夏に高校時代からの親友だった阿岸に強姦され、そのせいでHIVに感染してしまいます。
そのことで恋人にも別れを告げられ、病状も進行する中、後輩教師の乾武則だけが、そんな初芝の心のよりどころとなって行くのですが・・・男に犯されたという恐怖から、初めはなかなか乾の好意も受け取ってもらえず、ちょっと気の毒なシーンが続きます。
しかしどんなに足蹴にされても、乾は初芝と一緒に生きてゆきたいという気持ちをぶつけ続けます。

乾の表情見てるとなんか泣けてくる・・・


私はこの物語を読んでいて何に一番心を動かされたかと言うと、自暴自棄になった初芝が漏らした言葉でした。
「生・・・きるのが怖い」
普通こういう場合は『死ぬのが怖い』と言いませんか?
この言葉を見たときに、木原音瀬という人の死生観を垣間見た気がして、ちょっと胸を衝かれる思いがしました。

人の死に対する恐怖というのは2種類あり、それは死に至るまでの肉体的な苦痛と、死んだ後に自分という存在が消え去ってしまうことに対する喪失感です。
普通に生活していれば死に対する肉体的な恐怖は、あまりないと思うんです。
だから漠然と死んだ後の事を考えたりして、ちょっと寂しくなったりはします。
でも期限付きの人生を送らなければいけない場合・・・その先よりも死に向かう過程で自分が蝕まれてゆく痛みをダイレクトに受け止めなきゃならない。
これはキツいですよね・・・。
だからこその「生きるのが怖い」なんだろうし、この言葉を選んだ木原さんが、あまりにも鋭すぎて(良い意味で)恐ろしいですよ。
その証拠に初芝は薬を勝手に飲まなくなり、死んでしまってもいいと思ったりしますしね。
死への感じ方の違いに差があるのは、考えれば分かることなのかも知れませんが、それをちゃんと噛み砕いて物語に投下できる技量に感服です。

自分の人生を軸にして、あなたには未来がないと切り捨てた恋人に対して、「先生の人生はずっと続いていくんだから」と言った乾。
別に私は恋人がひどい女性だとは思いません。
それよりも逆に誠実だったんじゃあないかなと思います。
みんな自分の人生を主軸に生きてゆくんだから、初芝が別れを告げられるのも仕方なかった事かもしれません。
ただ乾のような人が傍にいてくれて、幸運だったかなとは思います。
どんなに邪険にされても「求めよ、さらば与えられん」を地で行ってましたよね。
あの情熱はスゴイと思いました。
初めは病気に付け込んで?などと考えたりもしましたが、HIVは死に至る病でもあります。
そんな邪な思いだけでは到底、初芝と一緒にいるのは無理だから・・・きっと病気があってもなくても、乾は初芝に恋をしてたんだろうなあと思いました。(もちろん初芝の病気がなければ、乾の想いが届くことは絶対になかったでしょうけど)

そしてあまり詳しくは書かれてなかったけれども、初芝の親子関係はあまり良いものではないのかしら、と邪推。
だって肉親にこんな重大な事を話せないなんて、そんな親子関係ってあるんでしょうか?
でも数年後の2人の様子を読みながら、ああ乾は初芝にとって(精神的な意味での)家族になったんだなと思い、ほっとしました。
家族にも打ち明けず独りで死んで行こうとしていた初芝が、乾が傍にいないだけで寂しいと思えるくらいに心安らかになっている・・・出来ればそこへ至るまでの一山二山を書いていただきたいですね。
あと阿岸視点でも読んでみたい気がします。
かなーり痛いと思いますが、彼もかわいそうな男だったような気がしてなりません。
阿岸が何を思いながら死んでいったのだろうと思うと胸詰まるものが・・・。
初芝のついた嘘のお陰で、多少は心安らかにはなったのかなあと思いますが。
読んでみたいなあ、阿岸視点。
切望!

しかし本当に今回は『難しい』テーマでしたよね。
BL作家がこれをやっちゃうのは、正直驚きを隠せませんでした。
でもGOを出してくださった担当さまに、読者の身ですが大感謝。
と言うか・・・これBLとかじゃないですよ。
こういう作品に出会ったとき、やや閉じられたジャンルであることが残念でなりませんね。


【追記】
『リベット』というタイトルって意味深ですよね。
私は今回初めてこの言葉を知りました。
「鋲」の一種なんですね。
なんとなく人と人を繋ぐ・・・みたいな意味合いなのかなあと単純に思いついてしまったのですが、本当のところはどうなんでしょうか。
ただリベットは他の鋲(ねじや釘)とは違い、安易な取り外しは不可。
半固定的な用途に適するものだそうです。
そう考えると、もう離れることのない二人を表すのにはぴったりのタイトルなのかな・・・と、また勝手にしんみりしちゃいました。
COMMENT (7) 

COMMENT

乱菊さん、こんばんは!感想楽しみにしていました☆

乱菊さんの鋭い指摘の数々に、そう!そうなのよ、とうなずいてしまいました。
「生・・・きるのが怖い」。確かに普通言わないですよね。木原さん鋭すぎて怖いです~。それに気づいた乱菊さんも鋭いです。

阿岸視点の物語。ほんと読んでみたいですね。これは切なくなりそうです。。。だって彼には乾がいなかったから。

リベット、ってそういう意味だったんですね。後で調べようと思っていて、そのままになっていました。情報ありがとうございました(^^)。

別の話題ですが、小冊子、昨日郵便局に走って申し込んできました。待ち遠しいです~☆


2006/09/27(水) 21:53:00 | URL | あい #5ddj7pE2 [Edit
乱菊さん、こんばんは!
感想、待ってましたよ~!

私も読後と今では感じ方が違ってきたので、もう1度レビューしようかと思っています。
読後の分は読み返すと恥ずかしいです。

>「生・・・きるのが怖い」
そうですよね。普通は死ぬのが怖いですよね。でも、いつ発病するか分からない、そしたらいつ死ぬか分からない、そしてHIVは差別され、好きな人と愛し合うのに不安がある、そんな初芝の毎日は怖くて怖くてたまらないですよね。
そして、生きるのをあきらめ、薬をやめてしまった初芝。それで、すっきりして楽になるなんてなんとも皮肉ですね。

それでも乾は「先生の人生はずっと続いていくんだから」と言う。
恋人の由紀にも、命に期限をつけられたのに。
でも乾は安易な励ましではなくて、本気でそう思っていて、そして自分にとってもそうじゃないと困る。
もう乾しかいないじゃない!と思いました。
初芝が病気じゃなかったら、きっと結婚して子供産んでって人生が待っていたかもしれないけど、逆に病気で得るものもあるんだな~って思いました。

だって例え健康でも、こんなに自分のことを想ってくれる人にはなかなか出会えないんじゃないでしょうか。
病気で不安な時に、利用しようが何だろうが、こんな人が側にいてくれたらいいなぁって、本気で思いました。

なんだか上手くまとめられませんが(^^;

ホントにBLというくくりがもったいないです。

2006/09/27(水) 22:02:18 | URL | miku #- [Edit
すいません。書き忘れてました(^^;
「リベット」の意味、
>もう離れることのない二人
すごく嬉しいです。
お互いにもうなくてはならない存在ですよね。
2006/09/27(水) 23:34:06 | URL | miku #- [Edit
>あいさん
やたらめったら長くなってしまったのに、読んでいただいて・・・恐縮です。
読了後しばらく、なぜか阿岸のことばかり思ってしまう自分が不思議でした。
あいつワルモノなのに!
当然の報いじゃないの?
そう思ってはみたのですが、なんだかしっくりこない・・・。
この違和感をまた文章にできればいいのですが。
なんかモヤモヤするんですよね。
リベット・・・あってるんですかね~(笑)
違ってたら腹抱えて笑ってやってください。

あ!私も今日、母に小為替と切手を調達してきてもらいました。
明日投函します。
大丈夫ですよね。ナム。

※木原さんのその部分のお知らせページなんですが、
よく見ればアドレスが『http://www●●●/susukimadaaruyo.html』ですよね。
「ススキマダアルヨ」って・・・(笑)
なんか木原さんらしいなあと思っちゃいました。
2006/09/27(水) 23:52:37 | URL | 乱菊 #pMXl.iIs [Edit
>mikuさん
初芝と乾のことは読み込んだつもりなのですが・・・阿岸・・・。
私は阿岸のことがどーも引っかかって、もやもやしてます。
ヤツの事だけがまだ消化しきれてません。
また頭の中で答えが出たら、記事にあげてみたいと思ってます。

確かに健康であっても、こんなに想ってくれる人っていないですよね。
でも初芝が病気にならなければ、そんな乾の心には一生気が付かないだろうし、でも好き好んで病気になったわけじゃないし、でもでもでも・・・。
ああ、なんだか頭の中がグルグルしてきました(笑)
何が正しいんでしょうか、いったい。
私、学生時代の頃より、物語を読み解くことに頭を使ってますよー。

タイトルの解釈は独断と偏見です。
あ、あってるの?という感じなんですが。
でもそうだったら嬉しいなあ、という期待を込めて・・・。
2006/09/28(木) 00:04:37 | URL | 乱菊 #pMXl.iIs [Edit
乱菊さん、こんにちは★
はじめまして♪
コメントありがとうございます。
早速お邪魔させて頂いておりますv

改めてこの本は奥が深いなぁと思います。
皆さんの感想を見て、頷いてばかり(笑)

>病気ネタや記憶喪失ネタは、ある意味ちょっとずるいと言うか、禁じ手な感じもしなくもありませんが

木原さんが苦手な方の書き込みで「こんな題材も扱えるんだよっていうのが前面に出てるから云々…」という理由を見たことがあります。
確かに時事ネタが多いというか、BLでは好まれそうもないネタが軸になってますよね。
だけどそんなベースがあるにも関わらず挑まれる、そして人気があるというのは逆にすごいと思ってます。
実力があるからこそ、なんでしょうね。
今回のテーマも、ただただ泣かせる系なのかと思っていました。
ですが、全く違った!
このテーマで温かくなれるなんて想像もしてなかったです。
いろんな視点で考えることも出来る作品でした。

また木原さんやその他の作家さんについて語って下さいね(^_^)ノ
2006/09/28(木) 18:01:21 | URL | 空 #m.2.LkcQ [Edit
空さん、いらっしゃいませ~!
なるほど・・・苦手な方たちからすると、その異色を放っている部分は、確かに鼻につくかもしれませんね。
私は逆にそういう彼女の「どうだ!」という部分が好きだったりするんで、これからもどんどん無茶なテーマに挑んでほしいな~なんて思ってます☆
以前、デブ受け・イマゾーを読んだとき、なんて自由な人だと感じましたが、やっぱりこういう人だったんですねえ(笑)
「リベット」も一見どうしようもないお話なのに、空さんの仰るようにあたたかい。
そしてどう転んでも悪人にしかなりえない阿岸ですら、ただ憎むだけの存在でなかったりして・・・。
はぁ~、やられました。今回も。

目下の目標は他の作家さんにも手を広げることなんですが、これがまたなかなか。
精進したいと思います。
お暇なときはいつでものぞいてやってくださいませ♪
2006/09/29(金) 09:03:40 | URL | 乱菊 #pMXl.iIs [Edit

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ある日突然BLに目覚めてしまった初心者腐女子の萌記録。
ただいま腐女子4年生。

レビューは最近b_88_31.gifさんとこで書いてます。
ここではもっぱらニッキとかメモとか覚え書きばかり。
タイトルに偽りありです。
ほんとすいません。


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